2017.8.23社内研修【不信感を抱かせない!介護事故発生時の家族対応】
■なぜ、介護の現場で事故が起きるのか?
■なぜ、家族は不信感を抱いてしまうのか?
■どうして大きなトラブルにまで発生してしまうのか?
これらの問いについて一つずつ整理をしたいと思います。
「なぜ介護の現場で事故が起きるのか?」これについては、介護保険制度がスタートした、つまり介護契約に移行したことを契機に事故がクローズアップされるようになった、と考えてください。介護保険制度が登場する前の措置の時代から、事故は実は多発していましたが、表面化しなかっただけのことです。
「なぜ、家族は不信感を抱いてしまうのか?」これについては、提供している介護サービスについての契約がアバウトというか、フィジーにならざるを得ないことが大きな要因の一つです。つまり、事故の原因や報告、結果や対応について、家族が説明を受けた職員ごとによって、事実関係や対応に違いが見られるからです。
「どうして大きなトラブルにまで発生してしまうのか?」についても、事故を起こした側である法人の対応によって、被害者である本人に身近な家族だけではなく、遠い親戚縁者までが、それぞれ個々の「介護とはこうあるべきだ」といった介護観を持ち込み、感情的な対立になりがちだからです。小さなトラブルであったはずのものが、いつの間にか大きな問題にまで発展してしまうのは、家族や親族から求められる事実関係について、その微妙な違いに家族や親族が苛立つからです。
しかし事故を起こした法人側からすると、その理由もわかります。スタッフも辞め、記録の書き方や内容も不十分、そして過去に同じような事故があったにも関わらずその対策を放置していたようなことを表に出すのに躊躇いを感じるからです。
介護の現場において、言いがかりをつけてくる利用者や家族・親族は多くなるものと予想されます。とくに直接の当事者ではない利用者の家族が難くせをつけてきたり、無理難題な注文をつけてくることは十分に想像されます。ではどうすれば、家族や親族から不信感を抱かせないような対策が打てるのでしょうか。
まずは十分なアセスメントを実施し、利用者個々に対する援助(介護)行為が正当であり妥当なものであることをサービス提供前に確定しておく必要があるでしょう。そしてヒヤリハットと事例をもとにしながら、場合によってはクレームに発展しそうなケースを洗い出し、対応マニュアルを作成する必要があります。それと平行して記録を再度見直す工夫もいるでしょう。
そして最後に、介護事故が発生した場合、必ず「謝る」ということです。この「ごめんなさい」という謝罪の意味は、「すべての責任は法人にあります」という謝罪ではなく、「利用者さんに痛い思いをさせ、またご家族にもいらぬ心配をかけさせてしまった」という意味での謝罪です。皆さんの中には「謝ることで、すべての責任を認めたことになるのでは」という考えをされている方もいるかも知れませんが、それは間違いです。謝罪の性格と内容が異なりますので、まずは「ごめんなさい」です。謝ることが出来ないと、事故の事実を確認する上で、どうしても回避したような、うやむやな発言しか出来ず、発言に一貫性がなくなりますので、まずは謝罪から始めましょう。