2016.10.4社外研修(名古屋市社会福祉協議会 ターミナルケア研修)
その人らしい最期を生きぬいていただくためのターミナルケア
例えば、「介護保険施設だからうちの施設から死亡者は出さない」「スタッフを守るためにターミナル期のお年寄りは病院へ」という乱暴な施設方針が打ち出されてしまえば、充実したターミナルケアの実践などありえません。
「うち」から死亡者を出さないというのは、しかるべき観察に基づき早期に報告が届き、正しい情報・検討により、本人・ご家族の同意の下で必要な医療が供給された結果、治る病気は治癒し、避けられるべき不測の事態、多くは事故を防ぐことを目的とした方向性を示したものである。
ところが、現実には以上の方針が、本人・ご家族の意向を充分に確認しないままに、むやみにほかの医療機関に転院させてしまったり、いわゆる問題行動を一方的に処遇困難と決め付け、安易な退居をさせてしまったりする言い訳に使われている場面を見受けます。
このように施設方針が不明確、かつ誤った解釈で日常業務が展開してしまっている現場では「こんなに弱っているんだから、今までどおりここ(施設)にいさせてほしい」というような利用者の切なる要望は届かない。
もちろん、治せる病気・治せる疾患を放置し、悪化させることはしてはならない。しかし、治らない病気や治癒を望めない疾患を前にいかに生きていくか、あるいは死んでいくかに戸惑う人に対し、「治療」だけを一方的な理由にして理不尽な方法で視野から外すことを目的としたようないわゆる「追い出し」をしてはならない。
施設方針を考える時に重要なのは、望まれた要望には必ず応えるということである。つまり、一番困っている人こそ受け入れていこうという姿勢を持つことである。